通信制大学→社会人大学院

通信制大学を卒業し今度は社会人大学院で修士(経営学)の取得を目指します。

自分なりの研究テーマの絞り方

こんにちは。

今は院の方も夏休み。夏季集中講座みたいなのも開かれているのですが、単位を取るよりも修士論文に向けての基礎作りが大事ということで、この夏の間はそのための書籍・論文読みばかりしています。

指導教員の先生からも『夏休みの宿題』が出ております。

てなわけで、宿題をこなすための研究探しのプロセスなどをご紹介します。

1. まずは手当たり次第に

はじめの取っ掛かりを作るのが一番大事。ですが、この時点では何にも無いということで、まずは自分の研究テーマをGoogle scholarにぶち込んで、近しいものを手当たり次第に取っていきます。

といっても、何でも良いわけではなく、それなりの基準は必要です。
例えば自分の場合、企業の多角化戦略について調べたいので、まずはキーワードで検索するとこんな感じで出てきます。

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で、ここで重要なのが「並び順」と「引用件数」

キーワードと関連性の高い順に並べ替えた上で、「引用元」に表示されている数字ができるだけ大きいものを選んでいくようにします。

1つ注意があるとすれば、この時点であまり絞り込まないこと。ちょっと広めに検索した方が良いです。理由は後述。

あと、タイトル名をクリックすると、PDFではなく掲載先のサイトにジャンプします。そちらに要約(Abstract)が載っていれば、それを読んで取捨選択する方が良いです。

ここでまずは近そうなものを片っ端から読んでいくことになりますが、拾った研究を精読するか?というとそんなことはなく…

2. 基本研究を押さえる

「取っ掛かりが必要」とか言っておきながら、なんで片っ端から読んでくの?という話ですが、実は基本研究を押さえたかったのです。
なので、広めに検索してゆるっと集めていくんですね。

「精読しない」というのも同じ理由。集めてきた研究の精読は後回しにし、まずは研究の以下のパートを読んでいきます。

  • はじめに(Introduction)
  • 問題・課題認識(Research Question)
  • 先行研究(Review)
  • 手法(Methods・Research Design)

このあたりでは必ず、「○○はこう言ってた」とか「××の手法によると」みたいな話が書かれています。

そして大体の場合、同じ書籍・論文が引用・参照されていることが分かります。そしてそいつが、基本的な研究であることが多いです。

となると、一番はじめに読むべきはその研究となりますので、まずはそいつから読んでいくことになります。

が、その場合にもいきなり精読はせず、上記のパートから読んでいきます。
というのも、分野・領域によっては、膨大な蓄積が存在するため、ホントの根っこにある研究は今更引用されていないケースもあります。

なので、複数の研究が参照している研究が、さらに参照している研究がないか?という芋づる式での探索も必要になってきます。

このようにして基本的な研究を押さえることで、まずは当該領域の研究を読むための勉強をすることになります。

ちなみに、事業多角化の場合だと、下の研究は必ず出てくると思って差し支えないと思います。

Chandler, Alfred Dupont. Strategy and structure: Chapters in the history of the industrial enterprise.(1962)

Penrose, Edith, and Edith Tilton Penrose. The Theory of the Growth of the Firm. (1959)

Ansoff, H. Igor. Strategies for diversification.(1957)

Rumelt, Richard P. Strategy, structure, and economic performance.(1974)

3. 絞り込んで読んでいく

1・2のプロセスを繰り返してある程度の体系めいたものを整理できたら、徐々に絞り込みをかけていきます。

そのときもGoogle Scholarの機能を使います。

基本的な方に近い文献の名称でまずは検索し、その次に「引用元」をクリックします。

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すると、当該文献を引用している研究を引っ張ってくることができます。

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ここでの絞り込み&1のステップでゆるっと集めた研究を必死に読んでいきながら、自分の中にある大きな問いとのマッチングや、問いの絞り込みをやっていくことで、徐々にテーマが仕上がってくるという次第。

でもって、ここ1月ほどはこんなことをずーっとやってますよというご紹介でした。

4. よくある誤解

ここからは指導教員からも言われたよくある誤解などについて。

① 書籍よりも論文を探す

ダメですよー。
領域にもよりますが、基本研究が書籍として出版されている例なんぞ腐るほどあります。

なんでこんな誤解が生まれたのか、自分なりに考えてみたのですが、多分↓あたりが理由かなぁと。

  • そもそも書籍よりも論文の方がヒット数が多く、「論文が優れている」との誤解を生む
  • 研究が書籍にまとまるのには時間がかかる
  • 「教科書を引用しない」こととの混同

特に3つめのところ。でもって、教科書は通常は書籍であることから、「書籍=教科書」と混同する人がいるんだろうなぁという風に思っています。

ちなみに、教科書を論文に引用するのは正しくないですが、テーマ探しや勉強の段階で教科書を使うのは全然OKです。ていうか、むしろ使った方が話が早い。
経営学の領域だと、↓の本なんかは、種々の学説が大きな学問の流れの中でどのように位置づけられているのかを知るのにぴったりだと思います。

書籍抜きで進めようとしても良いことなんか1つもないので、媒体にかかわらず渉猟するようにしましょう。

② テーマを絞り込みながら研究を探す

まぁこれは本論で述べた通りでして。検索能力と情報処理能力がコンピュータ並みの人であれば、絞った内容でいきなり探せるのかもしれませんが、普通の人はそんなことないので、ぼんやりと始めていけばよいのです。

てか、大体において、凡人が考えるテーマなんぞどっかの誰かがひっそりと研究を済ませてることが多いわけで。

そんなことよりも大きな問いからスタートし、幅広に研究を見ていくことで、「あれ?ここなんか違くね?」とか「この辺って触れてる人少ないらしいね」というのが出てくるので、そこにターゲットを設定する方がよっぽど楽に、かつ価値のあるものを作り出せると思います。

③ 新しい研究を優先して探す

卒論・修論の段階で新しい研究がどうなってるかから見ていくなんてムリムリ!

まずはベースとなるところから押さえていくことに注力しましょう。でもって、テーマが絞り込まれてきた段階で初めて、最新の研究のトレンドに触れて、手法やアプローチを学ぶというようにするべきだと思います。

てかそもそも読むための知識が足りまへん。

 

というわけで長々と書いた夏の昼下がり。何かの参考になれば幸いです。

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